絵本バンクの絵本棚

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エジプトのミイラ

「ミイラ」は苦手だ。
見た目の気味悪さを武器に度々映画などに出てきては私を震え上がらせる。
それが全くのエンターテーメントだど理解っていても、動くはずのないものが
突然「わあああああ」と起き上がり向かってきたら、観ているこちらも、当然、
「ぎゃああああああ!!!」だ。
以来、私の中の「ミイラ」は更新されていない。あれから20数年経った今でも
「包帯ぐるぐる巻きのおばけ」のままなのである。

そんな私のところへヒラリとやってきた絵本。
それがこの「エジプトのミイラ」。

「ミイラ」の本。なのに全然怖くない。
「ミイラ」についてまわる、あのおどろおどろしさがストンと抜け落ち、まるで
神話のように、ミイラの世界を語ってくれる、そんな絵本だ。

古代エジプトの彫刻や装飾画が甦ったかのような、繊細で鮮やかな挿絵。
ミイラづくりの工程一つ一つ丁寧に描かれ、ページをめくる手も止まるほど
魅入ってしまう。

不気味さ漂う姿ゆえに悲鳴をあびせられてきたが、幾重にも巻かれたあの
布の中には、お護りがはさめてあったり、まじないの言葉が書き添えられて
いたり。「ミイラ」は、死後の世界でも幸福であるように願われ送りだされて
きたものなのだ。

この絵本。ミイラづくりの工程だけでなく、古代エジプト人の死後の世界に
対する考え方、信仰する神々のこと、ピラミッドの仕組みまでも触れていて
読みごたえあり。

この絵本との出会いで、あなたの中の「ミイラ」もきっと更新されるはず!
本屋さんでぜひ探してみてくださいね!