絵本バンクの絵本棚

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ジェインのもうふ

この本を初めて読んだ時、とても驚き、懐かしくってあたたかい気持ちになった事を思い出します。

娘がまだ赤ちゃんの頃、ピンクのタオルを布団に敷いていたのですが、いつの間にかそれをぎゅっと握って眠るようになり、それがないと眠れなくなって、出かける時も持ち歩かねばならないほどに。
いつしかボロボロになってしまい、似たような物を与えたところ、案の定「ちがう―!ぴんくのたおりゅ」と泣かれ、仕方なく、穴が開き、あちこち破れたタオルを渡していました。

でも、この本の主人公、ジェインと同じように、大きくなっていろいろな事ができるようになり、たくさん遊び、いつのまにかタオルがなくてもすやすや眠れるように。
ジェインの小さくなったピンクのもうふは、小鳥が巣を作るために、少しずつ持って行ってしまい、お父さんが優しく言うのです。
「心の中で、もうふのことを思い出すと、もうふはまたジェインのものになるんだよ」と。
私もこんなステキな事を言ってあげればよかったと、もう遅いけれど思います。

この本の作者は「セールスマンの死」で有名なアメリカの劇作家、アーサーミラー。絵は数々の賞を受賞しているイラストレーターのアル・パーカー。
むっちりした赤ちゃんから少女へ成長した女の子の、ペンで描いた表情やしぐさが、とても愛らしい。