絵本バンクの絵本棚

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種山ヶ原の夜

11月の絵本のテーマは「作家」
国内外の作家の絵本が複数冊ずつ出品する中で男鹿和雄の絵本は一冊だけ。
「誰?この人」って必ず聞かれるけれど「トトロの森を描いた人」と答えると皆、驚き納得する。
老若男女、大人から子供まで惹きつけるジブリの背景画を描いている人なのだから。


昨年の秋、「男鹿和雄展」が角館で開催され600展余りの原画を目の当たりにして衝撃を受けた。
こんなに美しく日本の原風景を描ける人が自分の故郷にいたなんて......実は私も知らなかった。
プチ自慢をすると私の大伯母がかつて教壇に立っていた頃の教え子の教え子で男鹿氏がどんな少年時代を過ごしたか聞けたりもする。

私が今回紹介するのは東北(北上地方の暮らし)がテーマになっている宮澤賢治の戯曲に男鹿和雄が絵と文を付けた作品「種山ヶ原の夜」です。
時代背景は昭和初期。炭焼きを生業としている男と種山ヶ原の樹霊達の切なる願いを幻想的に描いている。
しかし、自然との共存共生が叫ばれている現代だからこそ何か強く訴えかけてくる、力強く読み応えのある一冊です。

紹介者 空