絵本バンクの絵本棚

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大千世界の生き物たち

私は、築90年の古ーーーーい家で育ちました。
家じゅう、ギシギシのガタガタで、遊びに来た友達にも「今までお化け屋敷なのかと思ってた」と言われたくらいです。

そんな家に怖がりの私。
突然ドアがバタンとなれば
ポルターガイストかもーーー!」
背中が凝ったように重くなると
「とりつかれたーーーー!」

ノミのようだった私の心臓…。それが、こんなに大きく?たくましく?なったのは、この絵本のおかげ。私を怖がらせるギシギシ&ガタガタがポルターガイストなんかじゃなく、こんなユニークな生き物たちだったら「お化け屋敷に住むのも悪くない。」
そう思わせてくれた絵本です。





「大千世界の生き物たち」
スズキコージ 作・絵
架空社


スズキコージさんのお話によると。
この世界には、私たち人間だけでなく、普段は見えない不思議な生き物たちも暮らしているらしく…その生きものたちは、あわてて見ようとするとふっと消えてしまうので、直接見つめないようにとっくりながめる練習をしたんだそうです。
この絵本は、スズキさんが家の内外や街中などで見かけたそんな生きものを紹介した「不思議な生きもの図鑑」のような絵本です。


せっかくなので2、3匹ご紹介します。

サカダチン。
人間の外出中、ギギギギーッとひとりでにドアが開くのは、ドアにはりついているサカダチンのせい。人間でも3歳くらいまでの子どもには見えるそうですよ。
私の実家でドアをバタンバタンやっていたのは、サカダチンだった…かも。

フンドーン。
背負ったリュックも捨てていきたいほど歩くのが苦しいときは、鋼鉄の身体のフンドーンがぶら下がっているから。こういうときは、一旦荷物をおろし&ものすごい勢いで立ちあがって駆け去るのがよいそうです。

スキママン。
棚から本を引き出すとき妙な音がするのは、スキママンが本の隙間にビッシリつまっているから。太ったスキママンだと本も引きぬけなくなるらしいです…。スキママンが住みついた本は、すばらしい本といわれ長く長く人びとに読みつがれていくそうですよ。

スズキコージさんは、この生きものたちと親しく話したり&今でも付き合いがあるものもいるそうです。
私は…まだまだ練習不足で、未だ目撃できず。
強いて言うなら…サカダチンの気配を感じたくらいでしょうか。

みなさんも、よーくよーく目を凝らせば、大千世界の生きものたちを見つけることができるかもしれませんよ!



追記
この「大千世界の生き物たち」は、すでに絶版の「大千世界のなかまたち(福音館)」
以前に月刊誌「子どもの館」で連載されていたもので、ほぼ当時の絵と原文のまま、架空社より復刊された作品です。